水戸市中丸町 棟部分の瓦施工 隅巴瓦・のし瓦・冠瓦について解説
- 大内 涼
- 施工途中紹介
前回のブログでは瓦敷設前の防水処理、南蛮漆喰について解説しました。
今回は棟部分を新しい瓦を使用して施工する様子を掲載します。
棟部分の瓦を施工する前に基準となる水糸を張って位置を確認し、
棟の先端部分の隅巴瓦(すみともえがわら)を設置します。
隅巴瓦とは?
主に寄棟屋根や入母屋屋根など、屋根の隅部分の棟(隅棟)の先端に用いられる特殊な瓦です。
屋根の隅は、複数の屋根面が交わり、棟が斜めに下っていく複雑な形状をしています。
この隅棟の終点、つまり軒先に近い部分で、のし瓦や冠瓦といった棟瓦と、平たい軒瓦が交差する点があります。
この交差する部分をきれいに納め、雨水の侵入を防ぐために隅巴瓦が使われます。
隅巴瓦の役割
- ・雨仕舞い(止水): 隅棟の先端から雨水が建物内部に浸入するのを防ぐ、非常に重要な役割を担います。
- 複数の瓦が複雑に交わる部分の隙間を覆い、防水性を確保します。
- ・美観の向上: 屋根の隅は、下から見上げると目立つ部分です。
- 隅巴瓦は、この複雑な部分を美しくまとめ、屋根全体のデザイン性を高めます。
- ・構造の安定化: 瓦の取り合い部分を補強し、構造的な安定性を向上させます。
隅巴瓦を設置したら、南蛮漆喰を使用し、のし瓦を設置していきます。
のし瓦とは?
瓦屋根の「棟」と呼ばれる、屋根の面と面が合わさる頂上部分に用いられる瓦の一種です。
のし瓦の役割
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・雨水の浸入を防ぐ(防水性確保): 棟は屋根の最も高い部分であり、雨水が集中しやすい場所です。
のし瓦は、その下に敷かれた葺き土や南蛮漆喰といった下地を雨水から保護し、建物内部への浸入を防ぎます。
のし瓦を何段も積み重ねることで、雨水が棟の内部に入り込むのを効果的に防ぎます。 -
・棟の高さと安定性の確保: のし瓦は、平たい短冊状の瓦を積み重ねて棟を形成します。
これにより、棟に必要な高さを与え、その上に乗る「冠瓦(かんむりがわら)」や「鬼瓦(おにがわら)」を安定させる土台となります。 -
・美観の向上: のし瓦の積み方や段数、また瓦自体のデザインによって、屋根全体の美観を高める役割があります。
のし瓦を積み重ねて、一番上に冠瓦(かんむりがわら)を設置して一つの棟(隅棟)が完了しました。
冠瓦とは?
「冠瓦(かんむりがわら)」とは、屋根の棟(むね)部分の最上段に葺かれる瓦の名称です。
棟は、屋根面と屋根面がぶつかり合って山状に隆起している部分で、
ここから雨水が建物内部に浸入するのを防ぐ重要な役割を担っています。
冠瓦は、この棟の「蓋」のような役割を果たし、雨仕舞いをより確実にするためのものです。
冠瓦の主な役割と特徴
- ・雨仕舞い(止水): 棟の最上部に位置し、その下に積まれた「のし瓦」や南蛮漆喰で形成された土台を雨水から保護します。
- 冠瓦がしっかりと覆うことで、棟内部への雨水の浸入を防ぎ、雨漏りを防止します。
- ・棟の安定化: 棟の構造をしっかりと固定し、強風や地震などによる瓦のずれや崩れを防ぐ役割もあります。
- ・美観の向上: 棟の頂点を美しく飾り、屋根全体の印象を引き締めます。
今回は隅巴瓦、のし瓦、冠瓦と様々な瓦が出てきましたが、全て重要な役割を担っています。
他にも鬼瓦などありますが、長くなってしまったので次回のブログで鬼瓦の設置から解説していきます。