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水戸市中丸町 ルーフィング防水処理、南蛮漆喰を使用して平部分の瓦工事

  • 大内 涼
  • 施工途中紹介
前回のブログでは、既存の棟部分の瓦と葺き土の撤去の工程まで掲載しました。
今回は瓦を積む前の防水処理の工程と、棟付近の平部分の瓦を積んでいく工程を紹介します。
ルーフィングを貼っていきます













防水のため、ルーフィングを引いていきます。
ルーフィングとは?
瓦の下に敷かれる「防水シート」のことです。
別名「下葺き材(したぶきざい)」や「防水紙」とも呼ばれます。
その主な役割は、以下の通りです。

・雨水の侵入を防ぐ(二次防水): 瓦は屋根の一番外側で雨を受け止める「一次防水」の役割をしますが、
強風時の横殴りの雨や瓦のわずかな隙間、経年劣化によるズレや割れなどから、
どうしても雨水が瓦の下に浸入してしまうことがあります。
ルーフィングは、瓦をすり抜けた雨水が野地板(屋根の下地となる板)や
建物内部に浸入するのを防ぐ、最後の砦となる重要な役割を担っています。
ルーフィングがしっかり機能することで、雨漏りを防ぎ、家全体の防水性を確保します。

・野地板の腐食を防ぐ: 野地板は木材でできていることが多く、雨水を吸い込むと腐食してしまいます。
ルーフィングは水をしっかりと弾き、野地板が水に触れるのを防ぐことで、
屋根の構造体である野地板の劣化を防ぎ、屋根や家の寿命を長持ちさせます。

・湿気の侵入を防ぐ: 外からの湿気が室内に入るのを防ぎ、
適切な湿度で快適な室内環境を保つ役割もあります。

今回使用しているルーフィングは改質アスファルトルーフィングというものです。
これはアスファルトに合成ゴムや合成樹脂を混ぜて改良したもので、
柔軟性、耐久性、防水性に優れています。
瓦との相性も良く、現在の瓦工事で広く使われています。

ルーフィングを敷設したら、平部分の瓦を戻します。
こちらの写真は大棟付近の平部分です。
基本的に瓦の損傷がない場合は既存の瓦を再利用し、元に戻します。
もちろんご要望があれば新しい瓦に変えることもできますがどうしてもその分予算は上がってしまいます。
今回は既存の瓦に損傷がなかったので再利用しました。
瓦の平部分を既存の瓦を使用し元に戻します













並行して軒棟の平部分の瓦も戻していきます。
写真をよく見ると、黒い土のようなものが見えますが、
これは「南蛮漆喰」を使用しています。
南蛮漆喰とは?
主に屋根の棟(むね)部分の瓦を固定したり、隙間を埋めたりするために使用される、
漆喰と防水材を混ぜ合わせた特殊な素材のことです。
通常の漆喰に比べて防水性、耐久性、接着性が格段に向上しているのが特徴です。
以前は、純粋な漆喰(消石灰を主成分とする)が使われていましたが、
これは吸水性が高く、経年でひび割れや剥がれが生じやすく、
雨漏りの原因となることがありました。
南蛮漆喰は、こうした従来の漆喰の弱点を克服するために開発された、
瓦工事に特化した高性能な漆喰と言えます。
特に棟の部分は、屋根の中でも最も過酷な環境に晒されるため、
南蛮漆喰の防水性や耐久性が非常に重要になります。
南蛮漆喰を使用して軒棟の平部分の瓦を戻します













瓦屋根の修理や葺き替えを行う際には、南蛮漆喰の適切な施工が、
屋根の防水性や寿命に大きく影響すると言えます。

最後に本日の作業が完了したら、梅雨時期ですので、
雨が降った際に未成箇所から雨漏りがしないようにブルーシートで養生して終わります。
未成箇所から雨漏りがしないようにブルーシートで養生します













次回はいよいよ新規で棟の瓦を積む工程を掲載します。